2018年1月25日木曜日

沢山の入院の依頼がある中で断った”一件”

出来るからと言ってそれをするかどうかというのは大きな壁があります。

例えば人殺し。

人は人を殺す動物ですが、ほとんどの人間は戦争でも起こらない限り、そして戦場で戦闘員として行動しない限り人を殺すことはまずありません。それでも普通の生活の中で人は人を殺すことがあります。しかし、それは本当に極稀なこと。
上の年次統計.comの資料によると例えば2010年に統計に表れる形で判明している”殺された人の数”は500人程度だとわかります。実際には表に出てきていない人も当然いると仮定することでその数も大きく変わってくるのでしょうが、それでもその倍の1000人と簡便のために仮定すれば人口一億(1.2億)の日本で殺されるのは1000/100000000人として100000万人に一人が殺されていることになります。それに日本人の平均寿命を80年として考え(更に簡便のため一人が一人の人間を殺すと考える)人が歳とともに減っていくことを考えれば、日本には数万人の”人を殺してしまった人”が居ることになります。(誰も死刑になっていないと言う前提)

勿論、その中にはその後に死刑になったり人を殺したあと自死したりする人間も居るでしょうから、更にその数は減るでしょうが、そう言った普通の人間なら絶対に超えない”一線”を超えた人がこの一見平和な日本でさえ数万人はいることになるという・・・。

話は長くなりましたが、実は今回病院の内科に”その一線を越えて”しまったあるお爺さんを入院させてもらえないかという事で社会科から相談が有ったのですが、結論から言えば私の病棟では受け容れられないと言う結論を下しました。

執行猶予が付いた尊属殺人だったようですが、私の居る内科病棟は精神科病棟におけるそのような事件を起こした人に比較的慣れている人達の看護集団ではないため、精神的な準備という意味での”敷居”が低くないという事情を勘案してお断りしたのでした。

他院や施設から毎日毎日沢山の患者さん入院の依頼がありますが、それらの中からスタッフにとっての”大きな苦労”になり得るものをわざわざピックアップしてくる必要は無かろうと副院長とのお話の中で決まったのでした。

現実の社会の中での病院の仕事・役割・舵取りというのも本当に難しいものです。

0 件のコメント: