2012年10月9日火曜日

文科省、懲りずにまたやってるし、、、

山中先生のノーベル賞受賞、素晴らしいと思うのですがそれに絡んだ周辺の事態はどうも素直には喜べない状況になるような気がしてなりません。
私自身は日本の研究費獲得とは縁もゆかりもない人間なので、何を言おうと日本の文部科学省から手が伸びてくることはありませんのでちょこっと書いておこうと思うんですけど、、、。(オマケにこんな糞ブログなんて絶対に文科省の人間読むわけないし。)
今回の受賞後の騒動を見ていて、同じ大学の同僚と話していた時にほぼおんなじこと考えていたのが判ったので、多分僕だけじゃないと思ったので世の中の少数意見と思っていただければ幸いですが、、、。w
受賞自体は日本人としても、研究者としても、今後その福音を受ける人類の大勢のメンバーの一員としても純粋に寿ぎたいですし、より多くの人の注目を集めることでこの分野への新たなる理解が集まってひいてはそれに関連して基礎研究への注目が集まるという循環が生まれることを密かに期待してやみません。
しかし、しかし、ここで日本のニュースを見ているとなんだかいきなり研究予算の十年間300億円のの支援決定とかなんとか内側から見て実に「胡散臭い」話が出始めているような気がします。一体コレなんだろうというのが正直な気持ちです。
まずはじめにこの額。確かに大規模な継続的支援を日本全体で官民挙げて行なっていく価値のある分野だと思うんですけど、この額の性急な決定は科研費決定の胡散臭い内側のプロセスを間接的に見聞きしている人間からすると、どう見ても単なる文科省の予算分捕り作戦の一環の一つに過ぎないと思えてなりません。
また、実際に投じられるべき額は十年で300億なんていうような「少額」であり得るはずがありません。いわゆるアメリカやヨーロッパの巨大製薬企業だったら下手したらiPS関連事業に一社でこれに近い金額を「一年」で投入してくるところもあるでしょう。そういう意味でも、どこにどれだけの金額をどれだけの期間投入していくかというのは遅れを取らずに決めないといけないことではあっても、事程左様に数日で発言して金額と期間を決めるようなものであってはならないはず。更には、この事業は一端、現民主党政権によって予算を削り込まれるという眼に遭っているという事実を忘れてはならないでしょう。
この掌を返したような行為こそ如何に科学に対する研究支援というものに日本の政治が理解がないかという事実の象徴だと思うのですが、大盤振る舞いをしたかと思えば恣意的に削ったり、、、もう全くもって一貫性がない。ぶっちゃけ、山中先生が今回ノーベル賞をとらなければ、世界の研究の激烈な競争とは関係なく、このような予算の追加支援は口から出てこなかったわけですし。
(以前、山中先生が愚痴ってられましたが、信じられないような厚さの申請書を書き込ませて資金請求をさせることに激しい怒りを表明されておりました。山中先生のラボはハッキリ言えば平均的な研究者のウン十倍も潤沢な資金を与えられているわけですが、それでも、山中先生が徒手空拳であった頃から、日米を往復されて必死こいてここまで来られた超人的な努力と成果を考えれば十分に報酬として相応しいものであると思います。それでも、その研究資金というのはグラントの申請書で「常に」「簡潔明瞭」に説明できるものであるべきで、電話帳の厚さのような申請書に官僚への言い訳を滔々と(グダグダと?)書き込むべきものではないと思います。)
更に最も大切なことは、このiPS細胞関連の研究開発による予算投入によって万が一にも他の科学研究関連の科研費が削られるようなことがあってはならないと強く危惧します。ここが私の考える非常にクリティカルな問題で、例えば医学生物学関連に限定してさえも、既に日本の友人の研究者達からはみんなこっち(iPS・再生医療)に金が吸い上げられていく、、、という恨み節を聞き及んでいます。
実際、極卑近な例で考えてみても、例えば臓器の置き換え、追加だけではどうしようもない疾患というのはいくらでもありますし、癌も転移を抑制できなければ原発臓器や一部の転移臓器を置き換えたところでそれは治療という意味では徒労でしか有りません。また、今は全く役に立たないと思えるような泥臭い、生物学的基本原理の解明への投資を怠ったら、そのツケは国家として数十年の悔恨で済まされるようなものではないはずです。
そしてこれにもう一つ付け足せば、例え、医学生物学分野で予算規模が増やされ、この分野自体に影響は少なかったとしても、他の自然科学分野等の研究領域が大幅減額されるようなことがあってはいけないはずです。数学、工学、物理、化学、、、諸々の領域がきちんとしたグラントによる正当な審査を経て、まっとうに今後共継続的に資金が流され続けることは大変大切だと思うんです。(社会科学の研究者達も全く同じ考えでしょうが、、、。)ノーベル賞をとった事はプラスに働く要素ではあっても、取れないからそこはダメと単純にネガティブ評価すべき性質のものではありません。
今現在、役に立たないと思えることにも継続的にきちんと研究資金を割く!これは政府系の援助で絶対に忘れてはいけない基本原則だと思うのですが、果たしてこれが耳に届いているか、、、まあ、少なくともこのブログからは無理ですが。(笑)研究費をバブルにする必要はなく、正当なグラント申請に見合った正当な額の資金を広く満遍なく、少壮の若手も含めて与える事は大変大事だと思います。日の目を見ない研究にもきちんと資金を適切に流す大切さこそ山中先生が何度も記者会見で口にされていおられたことだとです。実際、ほんの十年前は先生ご自身が塗炭の苦しみを味わわれていたわけで、、、。
最後に小さな危惧をおまけで、、、。今回のiPSに絡んで、一部の研究者達が再生医療の名を牽強付会したようなナンチャッテ再生医療のような研究テーマをグラント・タイトルにつけて一口乗っかってくるチープな臨床系の輩が大量に出てくる悪寒あり。
追伸:大体、日本の科学研究の総本山のボスが山東昭子とか田中真紀子とかナンカの悪い冗談でしょ???そんな恥ずかしい名前が載った賞状とか有り得ん。全く。www
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